● Vol.109 「床屋さん」
---------- 2006/04/06(Thu) 00:45
   「たなべですけど、今から
    髪切ってもらえますか?」

   『よかですよ、何時でん先生の
    都合のよか時間にどうぞ!』

    ずっと、カットしてもらって
    いる床屋さんがある。

    もう長い付き合い。

   『今日は、どうしましょう?』

   「いつも通りで、お願いします」

    カット中、他愛ない会話。

    リズミカルな鋏の
   “チョキ・チョキ”音に
    自然と私は、
    コックリ・コックリ。

    床屋の大将の
    お客様への「話しかけ」は、
    実に巧妙・職人芸。

    しゃべりたい人・
    雑誌を読む人・寝てる人。

    その人・その人のそれぞれの
    タイミングに合わせて、
    不快を与えず、居心地の
    良い空間を演出する。

   『先生、終わりましたよ』と、
    そっと話し掛ける。

   「ぁあ〜、今日も寝てしもた
    ですねぇ〜、気持ちよ〜
    してですねぇ〜」

   『有難う御座いました』と、
    大将は、店の外まで、
    いつもお見送りをしてくれる。

    雨の日も、雪の日も。

    私にとって、床屋さんは、
    癒しの空間。

    ただ、髪をカットするだけ
    じゃない『何か』をいつも
    提供してくれる。

   「ほらぁ〜、ちょっと男前に
    なったやろ〜」と院長。

   『そっ、そ〜ですね?!』と
    スタッフ。

    春風に整った頭髪が
    気持ち良い。

    背筋も何だかシャキットして、
    ウォーキング!



● Vol.108 「兄弟ゲンカ」
---------- 2006/03/30(Thu) 12:39
    私の子供達も、よく喧嘩する。

    兄弟ゲンカは、場所と時を選ばず、
    何時・何処でも勃発する。

    傍観している「眠れる獅子」の
    父親を気にしながら、対戦は続く。

    臨戦途中にブレイク・タイム。

    双方が父に歩み寄り、
    兄・弟がそれぞれの言い分を
    熱弁、自己肯定の嵐。

    しかし、兄弟ゲンカには、
    ルールもない。
    勝者もない。
    判定もない。

    私にも弟がいる。

    年子の弟とは、三度のご飯より、
    ケンカの方が日常的だった。

    年子に加えて、誕生月も同じで
    あったため、幼少の頃の
   「お誕生日会」は、兄弟揃って、
    友達を自宅へ招待。

    和気藹々な雰囲気で始まった
    バースデイケーキの蝋燭消しも、
    そこそこに沢山の友人を前にして、
    取っ組み合いの大喧嘩。

    白けた友人達は、プレゼントを
    置いて、いつの間にかご帰宅。

    誰も居なくなった事にも気付かず、
    兄弟二人のエンドレスの格闘。

    後で、母からこっ酷くお説教。

    しかし、唯一の男・兄弟。

    私にとって、弟は、
    掛買いの無い存在。

    輪廻・転生。

    我が子も同じ道を歩む。

    泣き寝入りしている弟に
   「でも、さあぁ〜、お兄ちゃん、
    好きでしょ?!」と父は、問う。
 
    小さく『ウン。』と頷く。

    体力で勝る兄に
   「弟、大好きやろっ〜!
    おらんかったら、寂しいやろ?!」
    と促すと、涙目の弟に、
    小さな『ごめんねっ。』して、
    頭を撫でる。

    好きだから「けんか」する。

    大好きだから、けんかしても、
    いつも一緒に遊ぶ。

    弟がいじめられていたら、
    本気で兄が怒る。

    嫌がられても、兄の後ろを
    弟が付いて廻る。

    深夜、病院から自宅へ戻る。
   
    兄弟で、くっついて寝てる。

    私に自然と笑みが毀れる。

    二人の頭をそっと撫でる。

    同じお母さん・お父さんを選んで
    やって来た、大切な存在。

    『だいすき!』が
     ケンカのノーサイド。



● Vol.107 「我が師」
---------- 2006/03/23(Thu) 13:07
    一本の電話が、私の元へ。

   「○△の×□様よりお電話です」
    と、スタッフ。

    聞き覚えのある様な名前。

    記憶を辿りながら、受話器を取る。

   『ご無沙汰しております。
    先生!お元気ですか?』

    高校時代の恩師からの突然の電話。

    懐かしさに声も弾む私の
    向うから変わらぬ声が届く。

    多感な学生時代、
    先生とも良く衝突した。

   「良平!後で話があるけん、
    放課後残っとけ!」

    反抗的な私を本気で怒ってくれた。

    真剣に私の話に耳を傾けてくれた。

    私の良き師である。

    内容は、奥様が婦人科のご病気
    らしく、ご相談の電話だった。

   『分かりました。
    私に出来る事であれば..』

    恩師との思わぬ会話に
    こころ弾んだ私の口調に、
    思わず先生も安堵したのか
    電話の後半は、昔話に少々花咲き、
    受話器を置いた。

    後日、恩師のお住まいの地域で、
    信頼のおける医師を紹介した。

    幸い、奥様のご様子も順調。

    そんな折、恩師から丁重な
    手紙が届いた。

    電話も鳴った。

   「たなべ先生、先日から家内が
    大変お世話になって..」

    人としての常識的な
    お礼の言葉であったと思う。

    しかし、私は、恩師の
    声に一瞬の沈黙。

    卒後数十年。

    師は、いつまでも師である。

    私は、死ぬまで彼の教え子である。

   『先生!なんば言よっとですか!』

   『「良平、また、何かあったら
     頼むばい!」で、良かでしょ!』

   『お世話になったのは、
    私の方ですよ』

   『いつでも気軽に電話して下さい!』

    受話器の向うが、一瞬の沈黙。

    受けた恩義は、とても大きい。

    たぶん、ご恩返しは出来ない。

    けれど、少しでもお役に
    立てれば、こころから嬉しい。

    いつまでも、お元気で。

    先生、またお会いしましょう。



● Vol.106 「オールナイト」
---------- 2006/03/16(Thu) 00:34
    中学生。

    少し背伸びしたら、ちょっと
    半分「おとな」な感じ。

    遠方からおじさんが我家を訪問。

    応接間で、お酒も入り、談笑する
    声が居間に居る私にも届く。

    おつまみを運ぶお袋が一言。

    「お父さんが、挨拶に来なさい」
     って、私に指令。

     しぶしぶ、多感な年頃は、
     隣室のドアを開ける。

    『ぉお〜、大きくなったなあ!』
    『もう中学生かぁ、おじさんが
     会った時は、まだこんな
     小さかったのになあ』

    『中学生は、もう大人じゃけん、
     ちょっと一杯飲まんね!』
     と、上機嫌。

     無言で、首を横に振る
     大人?の中学生。

    『よかけん!子供は、大人の
     言う事ば聞かんば!』

    「?!」な子供?の中学生。

     身長も伸びた。
     そばかすもできた。

     ちょっとおしゃれにも
     興味が出て来た。

    自分の部屋で、自分の時間を
    持つ事も増えた。

    そんな折、ふとした衝動。
 
   「徹夜してみようかなぁ〜」
 
    深夜は、未知の世界。

    みんな寝てる時間は、一体
    どっ〜なってるのかいな???

    数日前から、綿密な計画。

    学校が休みの前日に決行。

    午前2時を過ぎた頃から、
    気持ちは少しソワソワ・ドキドキ。

    当然、家族も夢の中。
   
    ラジオを付ける。
    本を読む。

    窓を開けて、外の世界を
    ぐるっ〜と見渡す。

    庭先で、野良猫の鳴き声。

    遠くで、トラックの停車音、
    救急車が走る。

    「すごかぁあ〜」

    「世界中で今、起きてるのは、
     俺だけじゃなかぁあ〜?!」
     という、大きな錯覚。

     当然、明け方、睡魔が
     容赦なく襲い来る。

     いつの間にか、ご就寝。

     お昼近くに、やっと起床。

    『いつまで寝てるのっ!!
     もう昼よ!』と不機嫌な母。

     親にも内緒の初体験。

     私は、おとな?・こども?

     多感で、純粋な、大きな
     子供の大きなあくび。



● Vol.105 「おまえ、好いとぅお〜」
---------- 2006/03/09(Thu) 01:13
     年輪を重ねる度に、
     学校を卒業した。

    幼稚園・小学校・中学校・
    高校・大学・大学院。

    各々の卒業時に同窓会が発足。

    小学校・中学&高校の
    同窓会会長に選任された。

    小6の時は、生徒会長であり、
    地元の中学に進学せず、故郷を
    離れるという理由で選出された。

    中学・高校では、
   「お前が会長になれば、同窓会の
    出席率も良いだろう」という
    安易な思惑で指名された。

    しかし、なかなか会を
    開催する事が出来なかった。

    地元に戻り、故郷に根を下ろした
    私に幼馴染からの連絡。

    同窓会のお知らせ。

    地元の有志が中心となって、
    開いてくれた。

    卒後三十年振り程の
    小学校の同窓会。

    沢山の同級生と
    肩き叩き合う再会。

    昨日会った友から、
    卒後初めての語らいまで。

   「えぇ〜と、誰だっけ〜」と
    いう顔もチラホラ。

     三十年。
     人生・いろいろ。
     紆余曲折。

    でも、損得抜きで、
    楽しんだ純粋な友達。

   「あの時の自分」が
    溢れている。

    今度、いつ会えるか
    わからない。

    けれど、時間を越えて
    タイムスリップ。

    幼き心が許していた友は、
    とても温かい。

   「やっぱ、おまえ、
    好いとうぅ〜」と
    思わず、こころも顔も綻ぶ。



● Vol.104 「機関銃」
---------- 2006/03/02(Thu) 01:02
    子供の頃は、毎日が
    新しき事との出逢い。

    「おどろき」と
    「きょうみ」の連続。

    色んなものに感動する。

    様々な空想がフルカラーで
    頭の内を駆け巡る。

    男の子なら「大冒険」に憧れる。

    学校帰りの空き地・空き家が
    秘密基地と化す。

    敵と見方に別れた陣取り合戦。

    お手製の機関銃が
   「ダダダッ!ダダッダダッ!!」
    と、大きな声の効果音で、
    相手を撃ち負かす。

    やっぱ、モデルガンみたいな
    かっちょい〜おもちゃが
    欲しくなる。

    そんな折、東京のおじさん家に
    遊びに行った。

    大好きなおじさんに、
    こころウキウキ、おねだり。

     大きなデパートで、
    「機関銃」ゲット!

    肌身離さず、包装された
    マシンガンを持ち歩いた。

    帰りの飛行機に搭乗する際、
    機内持ち込みを拒否された。

    「なんで?!」

    空港職員の怪訝な顔、謝る母。

    出発まで、あと数分。

    急遽、預かり荷物となる
    私の大事な武器。

    空港のおじさん、慌てて走って、
    荷物ゲージに持って行く。

    「あんなもの、持ち込めるわけ
     ないでしょ!!」と、
     母に怒られながら、
     ダッシュで搭乗口へと急ぐ。

    搭乗しても謝ってる母。

    「なんで!?」

    「ハイジャック?子供が?!
     だって、おもちゃじゃん!」
     てな、感じ。

    慌てふためく大人達。

    ちょっとガックリ、
    大人じゃない・わたし。

    でも、空の上では、空想劇。

    敵を蹴散らすヒーローの
    私が大激闘。

    「ダダッ!ダダダッ!
     ダダダダダァア〜!!」



● Vol.103 「あぁ、花の東京」
---------- 2006/02/23(Thu) 17:26
    小学生の頃、従姉が
    お家に遊びに来た。

    東京に住んでいる親戚の
    おじちゃん家に夏休み、
    お姉ちゃんが連れて行ってくれる
    というお話し。

    『えぇ〜!ほんとぉ〜!!』

    当時、地元のデパートに
    連れて行ってもらうだけで、
    ドキドキしていた私。

    福岡行くだけで、前日から
    眠れなかった幼きぼく。

    外人は、みなアメリカ人と
    思っていた小さなわたし。
 
    大都会・東京。
 
    『おねえちゃん、すごかぁ〜!』
     と、最敬礼。

    でもちょっと、浮かぬ顔の従姉。

    「でもねぇ〜、内足(内股)で
     歩くんじゃねぇ〜」

    内股だった私、そのお陰?で
    足も速かった。

    「内足直ったら、連れて
     行ってあげる!」

    『ぇえ〜?でも、そうかぁ〜、
     内足じゃ東京行けないんだぁ〜』
     素直に解釈・頷く小学低学年。

    それから、数日、お姉ちゃんの
    猛レッスン?!で、
    なんとか・内足・克服。

    胸張って、ちょっと自分の
    足元チェックしながら歩いた
    東京の街。

    あれから数十年。

    内足で、堂々と東京での
    学会に参加する私。

    おねえちゃん..。
    あれ?!なんだったの???。



● Vol.102 「ごめんなさい」
---------- 2006/02/16(Thu) 11:36
    子供と遊ぶ時は、私も子供。

    同レベルで、楽しく戯れる。

    我が子より私のほうが、
    たぶん喜んでいる。

    よって、興奮している。
    はしゃいでいる。

    つい・つい..
    はしゃぎすぎる事もある。

    『きゃあぁ〜!うぁあ〜!』と
     奇声をあげている息子が
    『いたたっ!痛〜い!お父さん』
     と、マジ顔になる。

    ちょっと、力が入りすぎて..。
    
    息子・ややしらけ顔。

    それでも、まだ、
    興奮気味のお父さん。

    息子・怒る。

    それでも、尚続く、
    お父さんの攻撃。

    息子・半泣き。

    お父さん..
    やっと冷静さ・取り戻す。
    「ごめ〜ん、冗談・じょ〜だん!」

    息子・去る。

    数時間後、そんな事も
    すっかり忘れているお父さん、
    息子に呼び出される。

    『お父さん、さっきねぇ、
     ホントに痛かったとよ』

    『ホントにごめんなさい
     って、思ってる?』
    
    息子の真剣な顔に
    正対するわたし。

    「ほんとに、ごめんなさい」

    大好きすぎて、時に
    度を越してしまう自分に反省。

    遠巻きに睨んでいるお母さんが、
    もっと怖い..。



● Vol.101 「カミング・アウト」
---------- 2006/02/09(Thu) 11:59
    私は、『ソフロロジー』の
    母親学級で、お母様達と
    お腹の中の赤ちゃんに
    お話をする。

    医師が、母親学級を担当し、
    すべて講義する事は、
    全国的にも珍しい。
   (おそらく、たなべクリニックだけ)

    全国から多くの医師・助産師
    看護師らがソフロロジー法を
    勉強する為に、たなべクリニックを
    訪れている。

    また、全国各地で講演し、
    様々な地域の方に講演する。

    結果、私は、人前で
    お話しする機会が多い。

    しか〜し、私って、
    実は、とてもシャイ..。

    家内以外の女性の眼を
    見つめてお話しするなんて、
    「あぁ〜、恥ずかし〜い」

    ほんとは、とっ〜ても
    恥ずかしいのだ!

    ベテランスタッフは、
    その私のキャラクターを
    実は、ちゃんと理解している。

    新人スタッフに何気に
    その事実を告白すると、
    「えぇ〜!うそでしょ!!」と
    目を丸くする。

    赤ちゃんとお母さんのために
    「壊れるほど・繊細な?」私は、
    日夜、自分自身と戦っている
    のですよ。

    この事を皆さんに
    カミング・アウトした事自体、
    「ぁあ〜!ちょ〜恥ずかしい!!」



● Vol.100 「通販生活」
---------- 2006/02/02(Thu) 12:47
     数年前から、ちょっと
    「通販」に凝っている。

    目的は、個人的なものではない。

     テレビを観てても、
     街を歩いていても、
     雑誌を読んでいても
     いつもクリニックに
    「何か役に立つもの
     無いかなぁ〜?!」という
     視点が頭の中を廻っている。

    失敗も・ある。

    「これ〜!いいなぁ〜!!」と
     私が思っても
     スタッフには、不評な事もある。

     しかし、
    「思わず、ガッツポーズ!」
     だってある。

     勿論、
    『クリニック・オリジナル』は、
     たっ〜くさんある。

    『たなべ・オリジナル』の
     製作を依頼したデザイナーも
     あまりのオリジナル作品の
     多さに仰天していた。

    通販の商品も本来の用途以外に、
    使い道が色々ある。

     これからも
    『たなべ・オリジナル』を
     創って行く。

    「世界で、ただひとつ」が良い!

    その脇役を通販が
    サポートしてくれる。