● Vol.119 「忘れてた」
---------- 2006/06/15(Thu) 12:45
    『先生、いつ赤ちゃんは、逢いに
     来てくれるんでしょうねぇ〜』
     と、臨月のお母さん。

    そんなお母さんの問いに、
    私はいつも、こう応える。

    「赤ちゃんも、色々、都合と
     予定があるんですよ!」

    「今晩、お腹の中の赤ちゃんと、
     よく話し合ってみて!」

    「お母さんの意見を赤ちゃんに
     伝えて、赤ちゃんの気持ちも
     訊いてあげてね!」

    そんな折、その会話を聴いていた
    赤ちゃんは決心したのか、
    陣痛スタート!

    お母さんは、ちょっと想定外、
    心の準備が、不十分。

    押し寄せる陣痛の波に、
    やや孤軍奮闘的状態。

    お母さんへスタッフと
    私からのメッセージ。

    「あんな逢いたかった赤ちゃんと、
     もうすぐ逢えますよ」

    次の瞬間、目を閉じたママが、
    静かに眼を開く。

    『そうだ..忘れてた...』

    『赤ちゃんも私と一緒に
     頑張ってるんだ』

    『私が酸素をいっぱい送らなきゃ』

    『陣痛の合間に休憩しなきゃ、
     赤ちゃんも休めないんだ』

     赤ちゃんも頑張ってる!!
  
     あんなに小さくて、
     か弱いのに、
     私以上に痛い思いを
     しているのに!
     私に逢いたくて、
     一緒に頑張ってる!!!

     人生で初めての
     母と子の共同作業。

    ありがとう、赤ちゃん。
    ありがとう、お母さん。



● Vol.118 「おバちゃん」
---------- 2006/06/08(Thu) 13:41
    私は、年齢的には、
    中高年である。

    子供も妻もいる。
    家庭も仕事もある。

    スタッフは、10代から60歳を
    越える様々な年齢層がいる。

    即ち、母のような年代から、
    同年代、我が子世代までと
    クリニックを共有している。
  
    スタッフとあらゆる
    共感を持ちたい。

    それが、私の望み。

    よって、特に10代のスタッフ
    との「感覚的」会話には、
    情報収集が不可欠。

    家のカアチャンに色々訊いても
    『なにそれ?!』状態。

    家内も既におバさん世代。

    私でも知っている世俗的な
    出来事すら知らない事もしばしば。

    小学生の息子達は、
    「お姉ちゃん」世代の若い
    スタッフとは、興味の対象・
    次元が異なりアウト。

    ならば、息子のお姉ちゃん
    世代の会話に何気に聞き耳立てて、
    さり気無くチェック。

    「これ?なんてドラマ!?」
    「主演のこの人、誰?
     なんていう人?!」
    「その着メロ、誰の曲?」

    おじさん・私は、見えない所で、
    直ぐにメモに記す。

    だって、すぐ忘れちゃうから..。

    ちょっと、ひと苦労。

    私の苦労など、知るよしも無く、
    共に談笑する世代達。

    でも、それが楽しい、嬉しい。

    実は、苦労でも、何でもない。

    私は、すべてのスタッフを
    こころでしっかり抱き締められる。

    だから、一緒に居る。

    オジちゃんでも、
    オバちゃんでも、いいよ!

    あなた達と共感できる事が
    シアワセ。



● Vol.117 「あらっ・まあぁ」
---------- 2006/06/01(Thu) 12:34
    『あらっ〜!』と、大きなお口。

    『いけませぇ〜ん!』と、
     眉間にシワ寄せる。

    「いやだわぁ〜、この子ったら..
     アハハ...」と、
    ちょっと引きつり笑いのお母さん。

    スタッフもついつい愛想笑い。

    妊婦検診に付いて来た、お口が
    達者なお姉ちゃんの爆弾?発言。

    子供は、何でも見ている・
    聴いてる・分かってる。

    日常の無意識に出ているお母さんの
    言動をしっかりチェックしている。

    大好きなお母さんのまねごと。

    ちっちゃな天使は、
    状況も、意味も分かんない。

     ただ、いつものお母さんの
    「まね」をしてるだけ。

    『せんせい!』

    「なぁあ〜に?」

    『あのね、お母さんがね、
     ○△□でね、■▲って、
     言うたらいかん!って、
     言わしたよ!』と
     内緒話なのに、ニッコリ告白。

    「そうねぇ〜、でも、それは、
     ないしょよ」と私。

    無防備なお母さん。

    我が子にアイ・コンタクト。

    でも、『?!』なお子ちゃま。

    何にも知らないと思ったら、
    おお間違い。

    子供は、親以上に私達を
    見つめてますよ。



● Vol.116 「区民・大運動会」
---------- 2006/05/25(Thu) 11:27
    心配していた雨もなく、
    曇り空もお昼頃には、
    晴れ間が覗く。

    恒例の区民・運動会。
    校区内の町内対抗戦。

    各町のテントが運動場を
    ぐるりと取り囲む。

    クリニック・スタッフも参加。

    毎年、新人が町内の
    貴重な戦力として参戦。

    私も昼前に応援へ。

    『いけぇ〜!走れ〜!!
     抜け〜!!!』

    丁度、町内対抗レースの真最中。

    応援にも自ずと力が入る。

    声の限りに大熱戦。

    テント下でも、額に汗した
    熱いバトルの応酬。

    小学生から大人まで。
    男女を問わず、一致団結。

    私は、テントを離れ、
    歩道橋の上から仲間たちを、
    みんなを観戦。

    「いいなぁあ〜、
     とっても良い感じ..」

    こんな風景がいつまでも、
    続いて欲しい。

    肩を抱き合う大人。
    一緒に戯れる子供たちの集団。

    我が町は、2年連続の総合優勝!

    『先生!今から祝勝会ですけん、
     一緒に来んですか!!』

    世代は受け継がれ、
    この子達が大人になっても、
    「大運動会」を伝えて欲しい。

    その時も、歩道橋の上で、
    み〜んなにエールを送りたい。



● Vol.115 「お兄ちゃん」
---------- 2006/05/18(Thu) 00:49
    妹がなにやら、
    こっそりお袋にご相談。

    小声でお母さんの
    やさしいアドバイス。

    当時、小学生の妹も
    女性としての大きな
    身体の成長期を迎えていた。

    そんな中、彼女は、親父の
    傍らにちょこんと座った。

    親父がニッコリ、妹と語らう。
 
    産婦人科医であるお父さんに
    娘は、その傍らで安堵の表情を
    浮かべる。

    妹が、高校生の頃、
    「ねぇ〜、お兄ちゃん、
     ちょっと相談」

    私の傍らに腰を下ろす。

    母は、家事をする手を
    休めず、台所へ立つ。

    思春期を迎え、成長する妹は、
    女性特有の変化を同姓である
    母以外に打ち明ける存在が
    家族の中にあった。

    女性として男性に話すには
    躊躇する内容を、妹は、
    遠慮する事無く、
    父や兄に相談出来た。

    そのような環境は、両親・妹に
    とって、そして、私にとっても
    とても素敵な事であると思える。

    妹に赤ちゃんが会いに来てくれた
    その瞬間にも私が居た。

    小さい頃、いつも私を後追い
    していた彼女も二児の母。

    母として、妻として、そして、
    妹は、産婦人科医として
    私をサポートしてくれている。
   
    「も〜う!お兄ちゃん、
     何話してるのぉ?!」

    義理の弟(妹の旦那)と
    酒を酌み交わし、談笑。

    ダンナも知らない妻の
    初恋話が、今日の肴。



● Vol.114 「出逢うべきして、出逢う」
---------- 2006/05/11(Thu) 00:14
    人との出逢いに、
    私は、いつも
    「一期一会」を感じる。

    出逢いに『運命』を感じ、
    『感謝』の念が沸き起こる。

    出逢うべきして、出逢った。
    共感した。

    いつも、そう思える。

    一人の赤ちゃんとの出逢い。

    ある楽曲に触れ、 
    それを歌うシンガーとの
    廻り逢わせ。

    ホームページに公開している
    『出逢いの瞬間』の挿入歌がある。

    この秋公開される
    「ストロベリーショートケイクス」
    という映画のテーマソングを歌う
    「マウント・シュガー」。

    彼らが、九州にライブで
    訪れた機会にクリニックに
    遊びに来てくれた。

    挿入歌となった「ストロベ」を
    ラウンジで披露してくれた。
    (その模様は、ホームページの
    「クリニックすけっち」で公開中)

    眼前で感じた素晴らしい
    旋律に言葉はない。

    彼らの思い。
    私の思い。

    私が出逢う多くの人々と私は、
    『見えない何か』で結ばれ、
    互いを手繰り寄せ合う。

    そう感じる。

    あ・り・が・と・う..。

     あなたに、
     すべての良き事が、
     起きます様に..



● Vol.113 「スマイル・すまいる」
---------- 2006/05/05(Fri) 12:47
    赤ちゃんがお母さんに逢いに来る。

    その瞬間が刻一刻と近づいている。

    陣痛の波。

    赤ちゃんとお母さんが
    一体となって、一緒に
    痛みを乗り越えている。

    「もうすぐ、逢えるよ」

    私の言葉にお母さんは、
    突然、呟き出した。

    『スマイル・すまいる・
     スマイル..』

    「?!」と、耳を澄ます私。

    元気な産声と共に
    お母さんに抱き寄せられる。

    やさしく、しっかりと
    赤ちゃんを迎え入れる。

    「ねぇ〜、さっき
     なんて言ってたの?」
 
    我が子を包み込む母は、
    そっと教えてくれた。

   = 赤ちゃんは、お腹の中にいる
    時からちゃんと耳が聴こえてる。

    記憶する能力もある。

    だから、いつも話し掛けていた。

    ある日、ふと思った。

    赤ちゃんは、お母さんの声を
    ずっと聴いていて、

    『お母さんて、どんな顔して
     るんだろうなぁ〜、楽しみ〜』

    『きっと、やさしくステキな
     お顔なんだろうなぁ〜』

    『だって、私のお母さんだもの!』   
    と考えているはず。

    ならば、初めて会う瞬間、絶対・
    ぜっ〜たい・笑顔で逢う! =

    『先生、だからスマイル・
     すまいる..』って
     言ってたんです。

     赤ちゃんが
    『うぁあ〜、やっぱり、
     想像道りのお母さんだあぁ!』
     と、感じてくれるように。

    最高の笑顔で逢いたくて..。

    スマイル・すまいる・
    スマイル..。

    『お母さんに選んでくれて
     ありがとう』

    赤ちゃん、こんにちは。

    お母さん、こんにちは。



● Vol.112 「この素晴らしき世界 What a wonderful world」
---------- 2006/04/27(Thu) 00:25
    私は、デスクワークの際、
    その時の仕事の内容・気分に
    より、BGMを選択し、
    自分の世界観を作る。

    毎朝、目覚めた時に、
    既に頭の中で、何か曲が
    流れている事がある。

    何の理由も、根拠も無い。

    「今日の一曲」が
     私の頭の中を駆け巡る。

    何だか不思議な感覚である。

    『What a wonderful world』。

    誰もが一度は耳にした
    事のあるサッチモこと、
    ルイ・アームストロングの名曲。

    晩年の1968年に録音され、
    名トランペッターである彼が、
    オーケストラをバックに
    しわがれた声で歌い上げた。

    意外にもこの曲がヒットしたのは、
    彼が亡くなる3年程前だった。

     今日の一曲は、
    『この素晴らしき世界』。

    私のパソコン・キーを
    打つ指も軽快。

    コーヒーも美味しい。

    そんな折、息子が
    私の部屋に入って来た。

    仕事をしている父を気遣ってか、
    静かに傍らで本を読んでいる。

    『ねぇ〜お父さん..』  

    『この曲、なんて曲?
     とってもいいねぇ〜』

    「そぉお〜!良い曲でしょ!」
   
    「パパが大好きな曲」

    『もう一回、聴きたい!』

    彼が生まれるずっと前から
    奏でられていたメロディ。

    英語の歌詞を彼がすべて
    理解しているわけじゃない。

    私もリアルタイムで、
    この楽曲に出逢った訳じゃない。

    世代を超えて、人のこころ・
    感性にそっと響き渡る。

    心の琴線に触れて、
    幼きこころまでも癒す。

    『What a wonderful world』。
    
    『この素晴らしき世界』。

    彼がやがて、この歌詞の
    素晴らしさを知る、
    その日が訪れる。

    その時にまた、この旋律を
    親子で楽しもう。

    彼も私も今一時、
    手を休めて、もう一度..。

    素晴らしき世界へ。



● Vol.111 「赤ちゃんのにおい」
---------- 2006/04/20(Thu) 11:55
    赤ちゃんは、とっ〜ても
    カ・ワ・イ・イ!

    理屈じゃない。

    だ〜い好き!

    だから、赤ちゃんがお母さんに
    会いに来てくれるお産に
    立ち会わせて頂く事は、
    この上なく嬉しく、感謝している。

    世界一・シアワセもの!

    赤ちゃんの『におい』が好き..。

    「先生〜、やめて下さい〜、
     もっおぉ〜」

    スタッフから注意を受ける院長。

    お風呂(沐浴)待ちしている
    ベビー室の赤ちゃんを
    抱き上げ、頭やら顔やら..
    においを嗅ぎまくって、
    撫で撫で・すりすり。

    『ぁあ〜、ぃいにお〜い!!』

    最近では、母親学級で、
    告白&謝罪。

    『先生が、ついつい無意識に
     あなたの大切な赤ちゃんの
     匂いを嗅いでたら
     ごめんなさいね!
     許して下さい!』

    『前世は、女性じゃないの
     かなぁあ??』
     と、つい考えてしまう。

    一度でも妊娠・出産できたら..。

    お母様たちの気持ちに
    少しでも近づけるのになあぁ〜。

    おっぱい、飲ませてみた〜い..。



● Vol.110 「夜桜」
---------- 2006/04/13(Thu) 12:23
    「よいしょ、よいしょ、はあぁ〜」
   
    「あと、もう少し..」
  
    「ぁあ〜!きれい〜!!」

    唐津の桜の名所・唐津城。

    長い・長い石の階段を一歩・
    一歩上って、天守閣へ。

    途中、素晴らしく咲き誇った
    桜たちが迎え入れてくれる。

    ライトアップされた花々と
    音も無く舞う葉桜が美しい。

    季節毎に行うクリニックの
    行事は、「花見」で
    スタートする。

    お弁当開けて、お酒も入り、
    夜桜の元、宴の華が咲く。

    新人スタッフの自己紹介。

    予定外の宴会芸。

    盛り上がるスタッフから少し
    離れて、私は一人、夜桜見物。

    舞い散る桜の中をほろ酔い
    気分で、ゆっくりお散歩。

   『先生〜、どこ行ってたんです
    かあ〜!盛り上がりましょ!!』

    と、スタッフの乾杯・攻撃。

    また一年、このスタッフと
    共に、同じ道を歩む。

    『共感』

    スタッフと私を結ぶもの。

    ありがとう。

    今年もすてきな桜が見れた。