● Vol.280 「17歳・・」
---------- 2009/07/30(Thu) 01:38
        「妊娠四ヶ月だよ」

        17歳のお母さん。

        彼女とお腹の赤ちゃんと私との・一期一会。

        赤い髪の毛・気合いの入ったお化粧。
        「だいじょうぶぅ・・」が・私の第一印象。

        でも・・。

        『ありがとうございました』と
        一礼して診察室を出て行った。

        一期一会のスタート。

        順調な経過。

        陣痛がやって来て・入院。

        診察の度毎に
        『宜しくお願いします』
        『ありがとうございました』

        陣痛がどんなに強くなっても
        その姿勢は変らなかった。

        立派なお母さん。

        数年後・お姉ちゃんの分娩に立会い。

        お子さんを背中におんぶして
        お姉ちゃんをずっとサポート。

        先輩お母さん。

        色々教えてくれて・ありがとう。
        私はあなたから・たくさん学びました。



● Vol.278 「11歳の立会い」
---------- 2009/07/24(Fri) 17:46
        『頑張ってぇ〜』

        『赤ちゃん見えたよ〜出て来た〜
        出て来たぁあ〜』

        11年ぶりのご出産。

        娘が・母と弟を常に励まし続ける。

        『頑張ったねぇ〜・もう終わりぃ
        だいじょうぶぅ!』

        『赤ちゃん・カワイイ!』

        『お母さん・ありがとう』

        娘の頭を撫でる父。

        お姉ちゃんが・母と弟を見守ってくれた。

        「お姉ちゃんそっくり!」と・母と父。

        『そっうかなぁあ〜』と
        ニッコリお姉ちゃん。



● Vol.277 「なにを見ていますか・・」
---------- 2009/07/16(Thu) 10:17
        ハンディなど全く感じさせない
        力強く繊細な旋律。

        7本指のピアニスト。
 
        2本だけの左指が鍵盤を躍る。

        彼女へ・子供たちから様々な質問が飛び交う。

        『ハンディだと思った事はない』
        『生まれた時から7本だから・これが自然』
        『だから・10本あったら気持ち悪いかも』と
        笑う。

        彼女の母から・会場の子供たちへ・・。

        「ないものは見ないの・・」
        「あるものを見ましょう!」

        ピアニストの笑顔には・母の愛が溢れている。



● Vol.276 「星に願いを」
---------- 2009/07/09(Thu) 09:31
        夏の夜空に一等星・三つ。

        ベガ・アルタイル・デネブを結ぶ大三角。

        ベガとアルタイルは・七夕伝説の織り姫と彦星。

        クリニックの駐車場で・大きく手を広げて
        夜空を一直線に見上げる。

        息子と家内も大三角を指差す。

        七夕の夜の願い。

        三者三様のお願い。

        み〜んなヒミツのお願い事。



● Vol.275 「二世」
---------- 2009/07/02(Thu) 11:01
        新患の患者様。
        妊娠二ヶ月。

        後日の診察の際・男性が同伴。

        「ぉお〜・こんにちは!」
        
        私の友人の息子。
        大きくなった・立派になった。

        『お世話になってます』と・私に一礼。

        一緒に・お腹の赤ちゃんを見る。
        三人で談笑・・。

        あんなに小さかったのになぁ・・。
        肩車してたのに・・。
 
        大きくなったなぁ・・。
        もうお父さんか・・。

        ちょっと・くすぐったい。
        ちょっと・切ない。
   
        でも・とてもうれしい。



● Vol.274 「10年帳」
---------- 2009/06/26(Fri) 00:00
        昨年の私の誕生日に・スタッフから
        「10年帳」をプレゼントされた。

        10年綴れる日記帳。

        昨年頂いた時にページを捲ると・今年の欄に
        様々なメッセージが綴られていた。

        スタッフ一人一人が自身の誕生日の欄に
        それぞれの想いを書き記していた。

        『先生・私は今日で○△歳になりました』
        『私は・成長しているでしょうか・・
        私は元気に頑張っているでしょうか・・』

        『先生もお身体に気をつけて』

        一年後の自分自身へのメッセージ。

        今日のページを捲る。

        今日が誕生日のあなたの想いが綴られている。

        「大きく成長していますよ・・」
        「ありがとう・・」

        あなたの文字の隅っこに・私の言葉を添える。

        一年後のあなたに寄せて
        私からハッピィバースディ。



● Vol.273 「だぁれぇえ〜?」
---------- 2009/06/18(Thu) 12:26
        『あら〜先生!こんにちわぁ』と・お母さん。

        「あら!こんにちわぁあ!」と・私。

        『こんなに大きくなりましたよ』と・娘紹介。

        「大きくなったねぇ〜」と・頭撫で撫で私。

        上目遣いの女の子。

        母と私の立ち話。
        間に挟まれ・不参加お嬢ちゃん。

        『それでは・また‥』と・母。

        「いつでも・クリニックに遊びに来て下さい」
        と・私。

        去り際に背後からの
        『ねぇ〜だれぇ〜あのおじちゃん?』。

        ふと立ち止まり・私はこころでお返事‥。
        「あなたが最初に出逢った・おじちゃんよ‥」。



● Vol.272 「サプライズ」
---------- 2009/06/11(Thu) 12:01
        赤ちゃんがお母さんに逢いに来た。

        入院中の赤ちゃんとお母さんの生活。

        「お母さんと数日違いのお誕生日に
        なりましたね」

        『ぇえ・・私が3日遅いですが・・』

        入院中にお誕生日を迎えられるお母さん。

        スタッフみんなは・チョッピリ知らんぷり。

        当日・・。

        「おめでとうございま〜す!」

        スタッフみんなで・手作りケーキを
        持ってお部屋へ。

        『!?!』

        赤ちゃんビックリ!

        お母さん・もっとビックリ!!

        みんなでお祝い。

        ハッピィ・はっぴぃ・バ〜スディ。



● Vol.271 「出発進行」
---------- 2009/06/04(Thu) 10:37
        二十年・・。

        一日も休まず・お弁当を届けてくれる
        お母さんがいる。

        愛情弁当。
    
        玉子焼きとおにぎり。

        息子が高校を卒業。

        あの日から・お母さんのお弁当作りは
        途絶えてしまった。

        『あんた・・食べてくれる?』
        「ハイ!喜んで!」

        新人駅員さんが受け取ったお弁当箱。

        その日から・再び始まった愛情弁当。

        『お弁当作りたかったから・・』

        何も見返りも求めず・ただ・・
        「おいしかったです!」の一言のために。

        駅員へ愛情弁当を続けるお母さん。

        息子が卒業して二十年。

        『はい・お弁当!』

        今日もお母さんの弁当が駅舎に届く。

        列車が動く。
        手を振る母。
        最敬礼の駅員。

        玉子焼きとおにぎり。
        こころが隠し味。