スマートフォン版はこちら

たなべりょうへいの言葉

ブログ

Vol.18 運動会にて...


車窓から子供達の躍動、父兄の
歓声が飛び込んでくる。
風に乗って、別の地域の運動会の
アナウンスが耳に届く。

運動会シーズン到来!

今も昔も子供達の「一生懸命さ」が、
父兄ならずとも大人の心に幸せを
運んでくれる。

沢山のテント、大きな歓声。
グランドの思い思いの場所で、
お弁当箱の饗宴。

「一杯、どうですか?」と、
隣のお父さんからビールの
差し入れ。

「運動会という名」の真昼の
宴会に盛り上がるお父さん、
おじいちゃんの少し向うに
父と娘の姿。
私の視線が止まる。

運動会の主役のその小さな
女の子の背中の向う側に
お父さんが背中を丸めて娘の
視線で向き合う。

父と娘だけのお弁当。

偶々、祖父母が来れなかった。
お母さんは、少し遅れて来るの
かも知れない。と、考えた。

ずっと、二人だけだった。

ずっと、女の子は、楽しげに
お父さんに話しかけている。
嬉しそうに目尻が下がる父。

大宴会じゃなくても楽しそう。
とっても幸せそう。
二人ともとっ~てもニコニコ。

「あぁ~。貰ったビールより
得した..」と素直に思えた。

我が子にも「あの子誰?」って
尋ねなかった。
傍らの家内にも何も言わなかった。

何故か胸一杯になった。
大きく空を見上げて深呼吸した。

「運動会」って、やっぱ
いいよなぁ~。

絶対、いい...。


Vol.17 名も無き花の声


私は、花が好き。
造花より生花が良い。

散るはかなさに、より一層の
美しさがあると感じる。

クリニック内には、いたる所に
花や木々がある。

訪れる人々に一時の安らぎを
与えてくれている。

でも、院内の私の部屋には
花や木々が無かった。

ある日、部屋に戻ると
一輪の花と小さな鉢が
出迎えてくれた。

「先生の部屋は、殺風景なので」と、
スタッフの何気ない心遣い。

今では、何気なく私の視線に
入る小さな花や植物が私を
とても癒してくれる。

物言わぬ生物(植物)が、
声なき声で私に囁いている。

万物には、生命がある。
その見えないエネルギーを
周囲に発しているのだろう。

静かに花や木々に水をやる
私の心は、何故か穏やかである。


Vol.16 タバコを吸うお母さんへ


タバコを吸うお母さんは、
時に、独り言のように
こう、おっしゃいます。

「別に、大丈夫だったわよ。
私も妊娠中止められなくて
ずっとタバコ吸ってたけど、
普通に生まれたし、子供も
元気にしてるわよ...」

って、友達も言ってたし。

はたして、本当にそうでしょうか?

妊娠中にお母さんがタバコを吸うと
お腹の赤ちゃんの脳に小さな穴が
空くと言われています。

「集中力がない」
「きれやすい」子供の

原因のひとつと考えられています。

赤ちゃんもひとりの
立派な人間です。

ひとりの人間として、
自分の人生を健康で
元気に生きていく権利を
持っています。

たとえ、お母さんと言えども
赤ちゃんの権利を奪う事は、
出来ません。

赤ちゃんの大切な未来を、その
第一歩であるお腹の中から
阻害する事は、たとえ親でも
出来ないのです。

あかちゃんは、
あなたを選んで、
やって来たのです。

とても大切な大事なお腹の
赤ちゃんを、これからも愛しく
守ってあげて下さい。

あなたもお母さんの
お腹の中に居た
赤ちゃんだったのだから。


Vol.15「なつのとも」の思い出


夏休みが終わった。
我家に居た小さな怪獣達も
元気に登校している。

「夏休みの宿題は、全部
終わったとね~。
知らんよ、お父さん。」
と、休み最後の日にソファに
寝そべる余裕シャクシャクの
子供達に一言物申す父。

「あと、ひとつだけ~。」

その「あとひとつ」が
落とし穴。

私が小学生の頃、夏休みに
なったら、初日から気合
入れて宿題をやりまくった。

目標は、
「7月中に終わる。」
そして、遊びまくる!

「よ~し、絵とか図工は
後ですれば良かけん・・・」

そのいつも同じ計画で、
私は、毎年泣いていた。

遊びに夢中の8月は、
すっかり絵や図工を忘れて
31日の夜に悪夢が襲う。

「あぁ、しとらんやったぁ~。」
「ど・どうしよう~。」

泣いても何も進まない。
親に怒られ、イヤイヤ眠い眼を
こすって、夜なべする。

何を作ったかのわからぬ
図工の作品を手に始業式へ。

ドキドキしながら上目使いに
担任の先生に宿題を提出。

「宿題、忘れた者、
手を上げっ~。」と先生。

数人の友達が手を上げる。
「うわぁ~、ヤバイぞっ~。」
と自分の事のように私。

「しょうがないなあ~。」
と、アッサリ終わる先生。

「えっ?!」「なにっ!?」
「先生、怒んないの?」
「な・な・なんでぇ~???」
と、崩れ落ちる私。

先生、そりゃぁないよ~。
私の「よなべ」は何だったの?
と、今この瞬間に声を大にして
私は、言いたい!!!

こどもたちよ。
宿題、ガンバッテ...。
でも、頑張らないで...。

Vol.14「なし屋」のおばちゃん


お盆を過ぎても猛暑は続く。
今年は、昨年の冷夏を取り戻す
如く太陽が肌を突き刺す。

そんな中、一時の涼を感じる
光景がある。

クリニックの道路の向い側に
今年も一本のパラソルが開く。

「梨屋のおばちゃん」が今年も
定位置に元気に陣取っている。

「おばちゃん、今年はぬっかねぇ~
今年もおばちゃんのうまか梨ば
楽しみにしとったよ!」

おばちゃんは、もう幾つなんだろう。
私が、ヨチヨチ歩きの頃から
クリニックの傍らで梨を売っている。

「先生がこまか時はねぇ..
じいちゃん先生の若か時はねぇ..」
と、何でも知っている。

『たなべ』の歴史を長年、見続けて
来た貴重な人である。

「おばちゃん、今年はまだ来らっさん
ねぇ~。元気しとらすかなぁ~。」
って、みんなで言よったとよ。

私は、子供と梨を買いに行く。
私の子供にも梨屋のおばちゃんを
知って欲しい。
その幼き記憶に残して欲しい。

今では、聞けなくなった昔話を
子供達にもして欲しい。

来年も再来年も元気に
パラソルを開いて欲しい。

おばちゃんの梨が
一番おいしい。