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たなべりょうへいの言葉

ブログ

Vol.96「我が師」


 一本の電話が、私の元へ。

 

「○△の×□様よりお電話です」

 と、スタッフ。

 

 聞き覚えのある様な名前。

 

 記憶を辿りながら、受話器を取る。

 

『ご無沙汰しております。

 先生!お元気ですか?』

 

 高校時代の恩師からの突然の電話。

 

 懐かしさに声も弾む私の

 向うから変わらぬ声が届く。

 

 多感な学生時代、

 先生とも良く衝突した。

 

「良平!後で話があるけん、

 放課後残っとけ!」

 

 反抗的な私を本気で怒ってくれた。

 

 真剣に私の話に耳を傾けてくれた。

 

 私の良き師である。

 

 内容は、奥様が婦人科のご病気

 らしく、ご相談の電話だった。

 

『分かりました。

 私に出来る事であれば..』

 

 恩師との思わぬ会話に

 こころ弾んだ私の口調に、

 思わず先生も安堵したのか

 電話の後半は、昔話に少々花咲き、

 受話器を置いた。

 

 後日、恩師のお住まいの地域で、

 信頼のおける医師を紹介した。

 

 幸い、奥様のご様子も順調。

 

 そんな折、恩師から丁寧な

 手紙が届いた。

 

 電話も鳴った。

 

「たなべ先生、先日から家内が

 大変お世話になって..」

 

 人としての常識的な

 お礼の言葉であったと思う。

 

 しかし、私は、恩師の

 声に一瞬の沈黙。

 

 卒後数十年。

 

 師は、いつまでも師である。

 

 私は、死ぬまで彼の教え子である。

 

『先生!なんば言いよっとですか!』

 

『「良平、また、何かあったら

  頼むばい!」で、良かでしょ!』

 

『お世話になったのは、

 私の方ですよ』

 

『いつでも気軽に電話して下さい!』

 

 受話器の向うが、一瞬の沈黙。

 

 受けた恩義は、とても大きい。

 

 たぶん、ご恩返しは出来ない。

 

 けれど、少しでもお役に

 立てれば、こころから嬉しい。

 

 いつまでも、お元気で。

 

 先生、またお会いしましょう。

 

Vol.95「オールナイト」


 中学生。

 

 少し背伸びしたら、ちょっと

 半分「おとな」な感じ。

 

 遠方からおじさんが我家を訪問。

 

 応接間で、お酒も入り

 声が居間に居る私にも届く。

 

 おつまみを運ぶお袋が一言。

 

「お父さんが、挨拶に来なさい」

 って、私に指令。

 

 しぶしぶ、多感な年頃は、

 隣室のドアを開ける。

 

『ぉお~、大きくなったなあ!』

『もう中学生かぁ、おじさんが

 会った時は、まだこんな

 小さかったのになあ』

 

『中学生は、もう大人じゃけん、

 ちょっと一杯飲まんね!』

 と、上機嫌。

 

 無言で、首を横に振る

 大人?の中学生。

 

『よかけん!子供は、大人の

 言う事ば聞かんば!』

 

「?!」な子供?の中学生。

 

 身長も伸びた。

 そばかすもできた。

 

 ちょっとおしゃれにも

 興味が出て来た。

 

 自分の部屋で、自分の時間を

 持つ事も増えた。

 

 そんな折、ふとした衝動。

「徹夜してみようかなぁ~」

 深夜は、未知の世界。

 

 みんな寝てる時間は、一体

 どっ~なってるのかいな???

 

 数日前から、綿密な計画。

 

 学校が休みの前日に決行。

 

 午前2時を過ぎた頃から、

 気持ちは少しソワソワ・ドキドキ。

 

 当然、家族も夢の中。

 ラジオを付ける。

 本を読む。

 


 窓を開けて、外の世界を

 ぐるっ~と見渡す。

 

 庭先で、野良猫の鳴き声。

 

 遠くで、トラックの停車音、

 救急車が走る。

 

「すごかぁあ~」

 

「世界中で今、起きてるのは、

 俺だけじゃなかぁあ~?!」

 という、大きな錯覚。

 

 当然、明け方、睡魔が

 容赦なく襲い来る。

 

 いつの間にか、ご就寝。

 

 お昼近くに、やっと起床。

 

『いつまで寝てるのっ!!

 もう昼よ!』と不機嫌な母。

 

 親にも内緒の初体験。

 

 私は、おとな?・こども?

 

 多感で、純粋な、大きな

 子供の大きなあくび。

 

Vol.94「おまえ、好いとぅお~」


 年輪を重ねる度に、

 学校を卒業した。

 

 幼稚園・小学校・中学校・

 高校・大学・大学院。

 

 各々の卒業時に同窓会が発足。

 

 小学校・中学&高校の

 同窓会会長に選任された。

 

 小6の時は、生徒会長であり、

 地元の中学に進学せず、故郷を

 離れるという理由で選出された。

 

 中学・高校では、

「お前が会長になれば、同窓会の

 出席率も良いだろう」という

 安易な思惑で指名された。

 

 しかし、なかなか会を

 開催する事が出来なかった。

 

 地元に戻り、故郷に根を下ろした

 私に幼馴染からの連絡。

 

 同窓会のお知らせ。

 

 地元の有志が中心となって、

 開いてくれた。

 

 卒後三十年振り程の

 小学校の同窓会。

 

 沢山の同級生と

 肩き叩き合う再会。

 

 昨日会った友から、

 卒後初めての語らいまで。

 

「えぇ~と、誰だっけ~」と

 いう顔もチラホラ。

 

  三十年。

  人生・いろいろ。

  紆余曲折。

 


 でも、損得抜きで、

 楽しんだ純粋な友達。

 

「あの時の自分」が

 溢れている。

 

 今度、いつ会えるか

 わからない。

 

 けれど、時間を越えて

 タイムスリップ。

 

 幼き心が許していた友は、

 とても温かい。

 

「やっぱ、おまえ、

 好いとうぅ~」と

 思わず、こころも顔も綻ぶ。

 

Vol.93「機関銃」


 子供の頃は、毎日が

 新しき事との出逢い。

 

「おどろき」と

「きょうみ」の連続。

 

 色んなものに感動する。

 

 様々な空想がフルカラーで

 頭の内を駆け巡る。

 

 男の子なら「大冒険」に憧れる。

 

 学校帰りの空き地・空き家が

 秘密基地と化す。

 

 敵と味方に別れた陣取り合戦。

 

 お手製の機関銃が

「ダダダッ!ダダッダダッ!!」

 と、大きな声の効果音で、

 相手を撃ち負かす。

 

 やっぱ、モデルガンみたいな

 かっちょい~おもちゃが

 欲しくなる。

 

 そんな折、東京のおじさん家に

 遊びに行った。

 

 大好きなおじさんに、

 こころウキウキ、おねだり。

 

 大きなデパートで、

「機関銃」ゲット!

 

 肌身離さず、包装された

 マシンガンを持ち歩いた。

 

 帰りの飛行機に搭乗する際、

 機内持ち込みを拒否された。

 

「なんで?!」

 

 空港職員の怪訝な顔、謝る母。

 

 出発まで、あと数分。

 

 急遽、預かり荷物となる

 私の大事な武器。

 

 空港のおじさん、慌てて走って、

 荷物ゲートに持って行く。

 

「あんなもの、持ち込めるわけ

 ないでしょ!!」と、

 母に怒られながら、

 ダッシュで搭乗口へと急ぐ。

 

 搭乗しても謝ってる母。

 

「なんで?!」

 

「ハイジャック?子供が?!

 だって、おもちゃじゃん!」

 てな、感じ。

 

 慌てふためく大人たち。

 

 ちょっとガックリ、

 大人じゃない・わたし。

 

 でも、空の上では、空想劇。

 

 敵を蹴散らすヒーローの

 私が大激闘。

 

「ダダッ!ダダダッ!

 ダダダダダァア~!!」

 

Vol.92「あぁ、花の東京」


 小学生の頃、従姉。

 お家に遊びに来た。

 

 東京に住んでいる親戚の

 おじちゃん家に夏休み、

 お姉ちゃんが連れて行ってくれる

 というお話し。

 

『えぇ~!ほんとぉ~!!』

 

 当時、地元のデパートに

 連れて行ってもらうだけで、

 ドキドキしていた私。

 

 福岡行くだけで、前日から

 眠れなかった幼きぼく。

 

 外人は、みなアメリカ人と

 思っていた小さなわたし。

 大都会・東京。

『おねえちゃん、すごかぁ~!』

 と、最敬礼。

 

 でもちょっと、浮かぬ顔の従姉。

 

「でもねぇ~、内足(内股)で

 歩くんじゃねぇ~」

 

 内股だった私、そのお蔭?で

 足も速かった。

 

「内足直ったら、連れて

 行ってあげる!」

 

『えぇ~?でも、そうかぁ~、

 内足じゃ東京行けないんだぁ~』

 素直に解釈・頷く小学低学年。

 

 それから、数日、お姉ちゃんの

 猛レッスン?!で、

 なんとか・内足・克服。

 

 胸張って、ちょっと自分の

 足元チェックしながら歩いた

 東京の街。

 

 あれから数十年。

 

 内足で、堂々と東京での

 学会に参加する私。

 

 おねえちゃん..。

 あれ?!なんだったの???。