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たなべりょうへいの言葉

ブログ

Vol.165「こころで写す写真家たち」


 盲目の子供たち。

 

 その子供たちの写真展が開かれている。

 

 眼が見えなくたって、写真は撮れる。

 そんな想いで、プロの写真家が、

 彼らの養護施設を訪問・指導。

 

 盲目の小さな写真家たちは、

 小さな音をも聞き逃さない。

 

 お母さんとご近所を散歩する女の子。

 遠くにかすかに聞こえる鳩の声。

 

 彼女には届いている。

 ふと、立ち止まり、見えぬ鳴き声に

 振り向きシャッターを押す。

 

 彼らの写真展が反響を呼んでいる。

 

 寝息を頼りに小さな弟を写した一枚。

 見えぬ姉の思いが伝わる・やさしいひとコマ。

 

   「こころで写す」

 

 こころで捉えた瞬間がそこにある。

 

 プロが驚く出来栄え。

 「想い」をこころで捉える。

 

 テクニックに走らない

 プロが目指す写真がそこにある。

 

 撮影を通じて、こころが成長する男の子がいた。

 

 産まれつき見る事の出来ぬ両親の顔。

 両親の顔が見たいと泣き叫んだあの頃。

 

 彼が描写したひとコマ・ひとコマを父が説明。

 

 息子のこころには、

 いっぱいにその情景が広がる。

 

   「耳で見たパパ」

 

 喩え、見えなくとも彼のこころは両親へ届く。

 

 彼は、これからもずっと写真を撮り続けたいと

 父の膝の上で、見上げて笑う。

 

 大切なもの・大切な瞬間を彼らは、

 耳で、肌で、知っている。

 

Vol.164「ママとブラッド・ピッド」


 我が妻と結婚。

 新婚生活がスタート。

 

 とは言え、私の仕事は不規則

 24時間・365日体制。

 

 夜中にクリニックから電話。

 家内も私と一緒に起きる。

 夜間にクリニックに出かけ、再び帰宅。

 

 私が帰ってくるまで、

 彼女も寝ずに待っていてくれた。

 

 「いいよ。起きて待ってなくて。身体壊すよ」

  の私の助言。

 

 『大丈夫です。あなたが起きて仕事してるん

  ですもの』と妻。

 

 しかし、正直、家内には考えられない

 驚く・私の生活。

 

 トイレ行く時も、お風呂に入る時も、

 彼女に電話を預ける私。

 

 いつ・何時・クリニックから電話がかかるか

 分からない。

 

 『何で、さっきまで寝ていたのに電話なったら、

  いかにも起きていたように普通に話せるの?』

 


 『寝ぼけないで、普通にしっかり、頭が働いて

  いるのが、ちょ~不思議』と、いつも妻は

  私の“特技”に首を傾げる。

 

 家内もついにダウン。

 夜中に起きて待っている事は、止めて貰った。

 

 でも、私がクリニックから深夜・帰宅すると、

『お疲れ様です』と寝ぼけ眼で、ベッドの中から

 声をかけてくれる。

 

 私が夜間にトイレに行って、戻って来ても、

 夢うつつで、『お疲れ様です』と私に囁く、

 彼女に感謝。

 

 そんなある夜更け。

 

 帰宅した私を自宅の廊下で知らない

 誰かが、お出迎え。

 

 ドキッ!ちょ~ビックリ!!

 誰なの~?!?

 

 遭遇した人物は「ブラッド・ピッド」

 

 最近、某携帯電話のCMにもよく登場する

 イケメン俳優。

 

 実は、家内は、彼の大ファン。

 

 レンタルビデオ店で見つけた

 彼の等身大のパネル。

 

 なんと、私の知らない内に彼女は店員と交渉。

 

『このパネル、要らなくなったら

 捨てるんでしょ!良かったら私にください

 お願いします』と嘆願。

 

後日、私の知らぬ間に、

ブラッド・ピッドが我家へ居候。

 

私との初・対面が深夜の廊下。

等身大の彼が、夜中に私に微笑んでいる。

 

妻と私とブラッド・ピッドの3人での新婚生活。

 

夫婦の会話には、参加しないけど、

寝室には来ないけど、一人廊下で

爽やかに微笑んでいる彼。

 

でも、「そこにいる」と知っていても、

夜中の微笑みは何度会っても怖かった。

 

今、彼はいない。

いつの間にか、何処かへ行ってしまった。

 

もう、来なくていいけど..。

 

Vol.163「こころのメロディ」


 3500gの立派な赤ちゃんの誕生。

 

 けれど、大きく生まれたのに、

 あまり成長しない。

 

 成長ホルモン障害。

 

 中学三年生の彼は、今も毎日、

 ホルモン注射が欠かせない。

 

 知的障害と視覚障害。

 

  受け入れ難い現実に、

 「普通になって欲しかった」と、

  母は、強く願った。

 

 入退院の繰り返し。

 ただの風邪で、生死をさまよう。

 6回目の誕生日。

 おばあちゃんがくれたピアノとの出逢い。

 

 楽譜も読めない環境で、自らも作曲をする。

 好き通るやさしい声で、歌を奏でる。

 

 『僕の演奏を聴いて、

  上手だったら拍手を下さい』

 

   こころのメロディ。

 

 彼のコンサートは、鳴り止まぬ拍手と

 感謝の涙が会場を埋め尽くす。

 

 「生まれてきた意味」を知りましたと、

  母は微笑む。

 

 一人では生きられない彼。

 

 「周りの愛情を吸収して、音楽で表現している」

  と、母は我が子を抱き締める。

 

   彼が得られなかったもの。

   彼が授かったもの。

 

   私たちが得られなかったもの。

   私たちが彼から授かったもの。

 

 『僕の演奏を聴いて、

  上手だったら拍手を下さい』

 

 今日も彼は、私達に

 生きる意味を投げかける。

 

Vol.162「性同一性障害」


 性同一性障害。

 

 この漢字の羅列を一体・どのぐらい

 理解できるだろうか?

 

 この言葉の深みをどれ程・感じる事が

 できるだろうか?

 

 歌う事が全て・生きる証。

 

 「今日も生かさせてくれて・ありがとう」

 

 シンガーは、コンサートの最初に

 そう挨拶し、深々と頭を下げた。

 

 歌っている時以外のアーティストの表情は暗い。

 

 心と身体のアンバランスを支え続けて

 くれたのが、歌・歌う事だった。

 

 愛すること・愛されることへの強い願望は、

 次第に厳しく・険しく・こころの奥を抉る。

 

 何故・その歌詞・歌声が、

 人々の心を打つのだろうか?

 

 どうして・私のこころの内に、響くのたろうか?

 

 頭で感じる何かと、

 こころ引かれる・なにかがある。

 

 説明できない・共鳴する自分を意識してしまう。

 

 様々な価値観・人生観があると考える。

 

 誰からでも多くの

 「学び」と「気づき」を与えて貰える。

 

   こころに感謝。

 

   出逢いに感謝。