大学受験。
私は浪人する事となり・予備校に通った。
予備校近くに下宿し・通学していた。
下宿にはお風呂がなく・近くの銭湯を利用していた。
同じ下宿仲間と通う銭湯は・気分転換にもなり楽しかった。
お金がない時は・お風呂の掃除を手伝い・ただで入浴させて貰っていた。
とてもやさしく・親切な銭湯のおばちゃん。
『あなたどこから来たの?』。
『受験頑張ってね』。
予備校生の母親代わりのような存在だった。
年の暮れ・受験勉強もラストスパートの頃。
『来年銭湯を閉める事になったの』と・おばちゃん。
受験を終える春にはおばちゃんともお別れ。
『あんたたち記念に番台に上げてあげるよ』。
おばちゃんからのビックリ提案。
ドキドキ・うきうき。
毎日下宿仲間と交代で番台に上がった。
受験も終わり・仲間もそれぞれの進路へ。
大学合格を我が事のように喜んでくれたおばちゃん。
大学入学式前にみんなで集まり・銭湯のご夫婦にご恩返したいと考えた。
お別れ会を開く事とし・入浴ついでに相談に行った。
『うれしいねぇ~』。
『ありがとう』。
『良かったらみんな・その日はおばちゃん家に泊まりなさいよ』。
銭湯のご夫婦にはお子さんはなく・私たちは甘えてお泊まりした。
とても楽しく・温かい時間だった。
おばちゃんのことは忘れない。
おばちゃん・ありがとう。