今日のよか

<毎週更新>良平院長のコラム

Vol.678「ひよこ」

幼い頃・地元のお祭りで”ひよこ釣り”の露店があった。

弟は興味津々でひよこを釣り上げ・自宅に持ち帰った。

数日はとても良く可愛がり面倒をみていた。

しかし・幼い子ども。

飽きるのも早い。

代わりにおばあちゃんが根気強く飼育していた。

ひよこはやがて成長し親鳥になった。

最終的に大きくなった鳥たちは屠殺場へ連れて行かれた。

鳥たちは変わり果てた姿で戻って来た。

世話をしなくなった弟は泣いていた。

知人が譲り受け・美味しく食べてしまった。

それから一時・私たち兄弟は鳥を食べれなくなった。

鳥に罪はない。

世話してくれたおばあちゃんに感謝しなくてはならない。

食してくれた知人にも感謝しなくていはならない。

露店で出逢った・小さな命。

大人となった兄弟は忘れてはならない。

おもちゃではない。

同じ命。

Vol.677「自律」

私は小学校を卒業後・全寮制の中高一貫教育の学校に入学した。

12歳の私は・親元を離れ寮生活をスタートした。

中学一年生は・大部屋で共同生活をする。

洗濯も自分で行い・食後輪番で食器洗いもする。

基本・自分の事は自分で行う。

入寮間もない頃・私は発熱して寝込んでしまった。

同級生が元気に登校した広い大部屋に一人取り残された。

正直・・心細かった。

面会は・食事を運んで来てくれる寮母さんのみ。

静かで・冷たい時間をたった一人で過ごした。

・・・。

頼れるのは・自分ひとり。

実家とは大違い。

いかん・・。

自分の身は・自分で守る。

自己管理の大切さを身に染みて学んだ。

寮生活を始めて・家族の有難さに気付いた。

遠い過去。

けれど・消えぬ良き教訓。

Vol.676「大浴場」

中高6年間寮生活を送った私。

中1から高3まで寄宿舎で共同生活。

お風呂は大浴場。

入寮したての頃はとても緊張した。

浴場の隅で新入生は固まって入浴していた。

入浴マナーも学んだ。

桶を使いかかり湯する際は・湯船に浸かっている先輩にお湯がかからぬ様注意した。

洗髪の際シャワーが周りに飛び散らない様気を配った。

脱衣場を濡らさない様に身体をよく拭いた。

実家で一人で入浴してる際には気付かなかったマナーがたくさんあった。

最終学年になった私。

マナーを守ってゆっくり入浴。

今年も新入生たちが入寮。

以前の私みたいな小さな身体が大浴場にやって来た。

隅っこで小さくなってご入浴。

大丈夫。

心配しないで。

マナーを守れば気持ち良い裸のお付き合い。

Vol.675「恩師」

「たなべクリニックまでお願いします」。

市内でタクシーに乗った。

『失礼ですが先生のクリニックに○△さんてお勤めですか』。

運転手さんから唐突な質問。

「そうですねぇ・・」。

個人情報。

安易には答えられない。

「どういうご関係ですか」。

『実は・・』。

語り始めた運転手さん。

前職は小学校の教諭。

彼女は教え子。

卒業以来ずっと年賀状が届く。

卒業三十余年。

『逢いたいです』。

「分かりました」。

「明日彼女に伝えておきます」。

下車する際名刺を預かった。

必ず渡します。

両手でしっかり想いを渡します。

Vol.674「四つの魔法」

4つの魔法を教わった。

○相手の眼を見る

相手の眼から視線を逸らす時には相手との間の“道”に落とす。

○相手の話を良く聴く

胸に眼があるように身体を相手に向けこころを開く。

○姿勢を良くする

良い姿勢をいつも意識する。

○口角を上げる

常に鏡の前で練習する。

魔法に笑顔を必ず添える。

あなたはきっとハッピーになる。

何故ならあなたが周りの人々をハッピーにするから。

Vol.673「スイッチON」

私は全国各地で講演する。

様々な地域・会場でお話をさせて頂く。

私の講演を聴講したくて全国から来場頂く事はとても有難い。

私の想いを会場の皆様に全身全霊で届けている。

基本的に開演1時間前には会場入りするようにしている。

控室に通される。

準備されている飲み物を戴く。

開演30分前。

正直・・。

緊張感なし。

リラックスムード。

10分前。

会場はほぼ満席。

でも・・。

テンション上がらず。

5分前。

スイッチ・・。

ON!

何故かいつも5分前にモードが切り替わる。

登壇。

100%起動。

不思議な現象。

自分でも謎。

内緒です。

Vol.672「気配」

『あら!髪切ったんですね』。

『お腹大分出てきましたね』。

クリニックスタッフにお声かけ下さる患者様は多い。

妊娠しているスタッフへの気遣いが嬉しい。

クリニックでの患者様とファミリースタッフとの出逢い。

それは人と人との素敵な出逢いでもある。

そこにはこころの触れ合いがある。

一期一会。

良き出逢いに感謝。

ご縁を大切に。

繋ぎ繋げる。

Vol.671「背中」

たなべクリニックでは・たくさんのファミリースタッフが在籍している。

クリニックを入るとギャラリーに笑顔のスタッフリストが掲載されている。

多数のナースが日々患者様に寄り添っている。

看護師には夜勤業務がある。

愛する我が子と離れ夜間の業務に当たる。

ファミリースタッフの子供たちはお母さんの胸で夢を見れない夜がある。

少し寂しいかもしれない。

ちょっと我慢しなければならない。

けれど幼いこころに母の頑張る姿はきちんと刻まれている。

大好きな折り紙。

母のために折った赤色のお手紙。

覚えたてのひらがなで『おしごとがんばって』の文字。

「娘から手紙貰いました」。

白衣のポケットから出す大切な赤い折り紙。

ちゃんと知っている。

ちゃんと分かっている。

だからあの子は・あなたを母に選んでやって来た。

Vol.670「ペア」


2歳のお兄ちゃん。

お母さんの妊婦健診にいつも付いて来てくれる。

いつもお兄ちゃんはお母さんとペアルック。

今日は白い毛糸の帽子にボーダーのシャツ。

母子共に胸に同じワンポイント刺繍。

靴も同色のデザイン。

お兄ちゃん!きまってるぅ~!

次の健診は4月。

春の装いを楽しみにしているよ。

Vol.669「あの日あの時」

私は日記を綴っている。

何十年も書き続けている。

日記に必ず書き記す事がある。

家族のこと。

クリニックのファミリースタッフのこと。

自分自身のこと。

その日こころの琴線に触れた事柄を残している。

毎朝のラインナップ。

過去の今日の出来事を披露する事がある。

「○△さんは3年前の今日初めて当直に入りました」。

「□☆さんは5年前の今日手術の助手を初めて経験しました」。

「◇▽さんは2年前の今日院長に結婚相手を紹介しました」。

本人も覚えていない記念日が・私の日記帳には大切な記憶として残されている。

あの日・あの時。

今日も大切な想いが私のこころと共に綴られていく。