今日のよか

<毎週更新>良平院長のコラム

Vol.671「背中」

たなべクリニックでは・たくさんのファミリースタッフが在籍している。

クリニックを入るとギャラリーに笑顔のスタッフリストが掲載されている。

多数のナースが日々患者様に寄り添っている。

看護師には夜勤業務がある。

愛する我が子と離れ夜間の業務に当たる。

ファミリースタッフの子供たちはお母さんの胸で夢を見れない夜がある。

少し寂しいかもしれない。

ちょっと我慢しなければならない。

けれど幼いこころに母の頑張る姿はきちんと刻まれている。

大好きな折り紙。

母のために折った赤色のお手紙。

覚えたてのひらがなで『おしごとがんばって』の文字。

「娘から手紙貰いました」。

白衣のポケットから出す大切な赤い折り紙。

ちゃんと知っている。

ちゃんと分かっている。

だからあの子は・あなたを母に選んでやって来た。

Vol.670「ペア」


2歳のお兄ちゃん。

お母さんの妊婦健診にいつも付いて来てくれる。

いつもお兄ちゃんはお母さんとペアルック。

今日は白い毛糸の帽子にボーダーのシャツ。

母子共に胸に同じワンポイント刺繍。

靴も同色のデザイン。

お兄ちゃん!きまってるぅ~!

次の健診は4月。

春の装いを楽しみにしているよ。

Vol.669「あの日あの時」

私は日記を綴っている。

何十年も書き続けている。

日記に必ず書き記す事がある。

家族のこと。

クリニックのファミリースタッフのこと。

自分自身のこと。

その日こころの琴線に触れた事柄を残している。

毎朝のラインナップ。

過去の今日の出来事を披露する事がある。

「○△さんは3年前の今日初めて当直に入りました」。

「□☆さんは5年前の今日手術の助手を初めて経験しました」。

「◇▽さんは2年前の今日院長に結婚相手を紹介しました」。

本人も覚えていない記念日が・私の日記帳には大切な記憶として残されている。

あの日・あの時。

今日も大切な想いが私のこころと共に綴られていく。

Vol.668「苦手」

私は食事の際どちらかと言えば嫌いなもの・苦手なものから食す。

好物は最後にとっておくタイプ。

以前家内の実家にお邪魔した際・義母が手料理をご馳走してくれた。

『何のお構いも出来ませんがお口に合うかどうか』。

『遠慮なく召し上がれ』。

「どれも美味しそうですね」。

「遠慮なくいただきます」。

取り分けられた小皿の料理を見つめつつ箸をつける私。

マイルールに従い苦手なものから口に運ぶ。

「とっても美味しいです」。

頑張って完食。

『あら!この料理お好きなんですね』。

『どうぞどうぞ・いっぱいお代わりして下さいね』。

克服した一品が大盛になって眼前に並ぶ。

「いただきます」。

後日・大分月日が経過して家内にカミングアウト。

『知ってたわよ』。

『大分頑張って食べてたね』と家内。

助け船なし。

次の機会こそ・私のアイコンタクトを見逃さず宜しくお願いしますね。

お料理上手な義母。

けれど私には苦手なものもある。

次からはほんの少しだけアビールするかも。

さもなければルール変更。

大好きなものから手を伸ばそう。

Vol.667「大樹」

懇意にしている心理カウンセラーから以前・心理テストを受けた。

与えられたテーマに沿い絵を描く。

私はクレヨンで画用紙いっぱいに大樹を描いた。

大きな幹とたくさんの枝・深緑の葉っぱたち。

大地にで~んと踏ん張っている。

小鳥たちが集い・木陰に人々が憩う。

『これはあなたがなりたいものですよ』と教えられた。

あら♪

ほぉ~お。

なるほど・・。

そっかあ。

そうなんだ・・。

改めて自分が描いた絵を見つめた。

『なりたいじゃなくて・なる!って想って下さい』。

『そうすればあなたは必ず・大樹になります』と助言された。

自分自身と向き合う良き機会を得た。

大樹になる。

想いは必ず叶う。

種は蒔かれた。

陽を浴びて根を生やして・大空に真っ直ぐに伸びていくぞ!

Vol.666「妊婦さんスタッフ」

クリニックにもお腹に大切な赤ちゃんがいるファミリースタッフがいる。

妊娠が判明。

ファミリースタッフからの祝福。

予定日が確定。

みんなで喜ぶ。

性別を教える。

盛り上がるスタッフ。

妊婦健診。

みんなが見守る。

ユニフォームがマタニティーウェアに代わる。

産休に入る。

赤ちゃんが逢いに来てくれる日をみんなで待ちわびる。

赤ちゃんが逢いに来た。

みんなが感激。

産科で働く。

自院で健診・自院で出産。

みんな嬉しい。

みんな安心。

赤ちゃん一番安心。

Vol.665「お父ちゃん」

休日のお昼。 

あるドキュメンタリー番組の再放送を観た。

地方のうどん屋。

夫婦二人で始めた小さなお店。

やがて評判を呼び店は繁盛。

従業員を雇うまでになった。

地元で有名店に成長。

幸せな日々が流れた。

けれど悲しい出来事が訪れた。

店主であるご主人の突然の他界。

大黒柱を失った繁盛店は窮地に立たされた。

しかし奥さんは踏ん張った。

悲しみを乗り越え・夫婦で育てた大切なお店を守り続けた。

従業員と共に変わらぬ味を提供し続けた。

密着したテレビ取材。

インタビューアが尋ねた。

「ご主人が亡くなった後・お店を閉じる事なくお客様に支持され・ずっと頑張ってこれた理由は何ですか」。

『お父ちゃんに・・褒められたいから』。

しばし沈黙の後こう続けた。

『私があっちの世界に行った時お父ちゃんに褒めてもらいたくて』。

『良く頑張ったなあ~ってお父ちゃんに褒めてほしい』。

涙目でお母ちゃんは語った。

今も途切れる事のない客足。

天国でお父ちゃんが微笑んでいる。

Vol.664「ぶれない想い」

たなべクリニックは日本ソフロロジー研究会が認定した・日本で最初の研修施設でもある。

たなべクリニックは日本におけるソフロロジー法の普及を担っている。

全国から多くの医療従事者が絶える事なく訪れている。

加えてメディカ出版主催の産前教育セミナーでは・十年以上に渡りプランナーとして

ソフロロジー法の普及に努めている。

たなべクリニックは『育児こそ世界で最も重要な仕事である』を

ミッション(企業理念)としている。

変わる事ない熱意と信念の元・今までもこれからも強い想いで活動を続けている。

Vol.663「今が一番」

末期ガンの女性。

最期を自宅で迎えると決めた。

ご主人と二人。

『おはよう』で始まる1日が尊い。

「寒くないか」。

『大丈夫・寒くない』。

手を握りあった何気ない会話が愛しい。

余命1ヶ月と宣告された後・数ヶ月もご主人との時間を共有。

『しあわせ』。

『今が一番幸せ』。

彼女は・そう言い遺して旅立った。

Vol.662「繋ぐ・繋げる」

関西から唐津へお里帰り。

初産のお母さん。

予定日数日前に陣痛がやって来た。

赤ちゃんは・遠路お父さんが来るのを待っていてくれた。

お母さん・お父さんの元に元気な赤ちゃんが逢いに来た。

『私は良平先生のお父さんに取り上げてもらいました』。

『今度は私の赤ちゃんを良平先生に取り上げてもらいました』。

『この子がお産する時も宜しくお願いしますね』。

繋ぐ・繋げる。

赤ちゃんおめでとう。

お母さんありがとう。