Vol.1120「母のいる故郷」
衝撃的なドラマを観た。
親子関係に・こころの傷がある子供たち。
子供たちは既に成人している。
社会で地位も名誉もある。
しかし・母との塞がらない辛く苦い思い出がある。
母に本心を伝えられなかった。
母に感謝の言葉を届けられなかった。
母は既に他界している。
4話。
1話・完結の物語。
4話それぞれに・違う主人公がいる。
ストーリーは・こころを放つ企画旅行。
東北の山奥の田舎町にある一軒家に1泊する。
そこが・主人公の故郷として設定されている。
仮の故郷。
そこに「仮の母」がいる。
村人総出で演技する。
全ての人が・主人公の里帰りを迎える。
まるで・そこが本当のふるさとのように振る舞う。
老婆が仮の母を熱演する。
本当の母のように・主人公に接する。
中年となった主人公も・実の母を老婆に感じる。
こころの奥底に隠し持っていた想いを母に吐露する。
これは・ある企画会社が提案した「母のいる故郷」ツアーなのだ。
しかし・村も老婆も参加者である中年も疑似体験にのめり込んでいく。
その村に永住を決意する参加者もいる。
老婆を本当の母と慕い・幾度となく通い続ける。
母とは・・。
故郷とは・・。
物質的な豊かさではなく・こころの豊かさを問われる現代。
単なる作り物とは思えないドラマであった。
人は何を求め・何を失ったかを問う人間像であった。


