今日のよか

<毎週更新>良平院長のコラム

Vol.887「不動心」

私は産科医。
私の勤務体制は基本・24時間365日。
トイレに入る時も入浴する時も・片時も携帯電話を離さない。
そんな生活を30年以上続けている。
『先生・大変ですねぇ』。
『ホント・頭下がります』。
知人は口を揃えて・私を労う。
大変だけど・嫌じゃない。
とても楽しい毎日。
使命感がある。
お役目がある。
生命の誕生に立ち会える尊さは・何ものに換え難い。
生涯現役。
頂いたお役目を果たすのみ。


Vol.886「想いには想いを」

キッチンスタッフが退職した。
短い期間ではあったが・とても美味しい食事を毎日提供してくれた。
彼女が作る食事を入院患者様はとても楽しみにしてくれていた。
退職の日。
彼女から素敵なプレゼントが配られた。
お手製のお菓子と感謝のメッセージカード。
スタッフ全員にひとつずつ包装されていた。
後日スタッフ一人一人から感謝のメッセージカードが彼女に届けられた。
彼女は大切なたなべクリニックファミリー。
一期一会。
想いには想いを。
ありがとう。
また逢う日を楽しみに。

Vol.885「う○ち」

腰痛に悩まされる妊婦さんは少なくない。
よって・骨盤矯正ベルトをお勧めしている。
私も長年骨盤矯正ベルトを愛用している。
私はベルトを利用するようになり・便通が良くなった。
毎日快便である。
それが嬉しくて・その事をスタッフにも報告した。
『良かったですね・先生』。
「実は・私もそうなんですよ」と・スタッフ。
スタッフと・う○ちの話も出来る事が正直私は嬉しい。
何でも話せる。
こころ許せる関係は・とても幸せ。
今日も便通良好。
報告しなくちゃ。

Vol.884「すもう」

息子がやんちゃ盛りの頃よく相撲を取った。
私が大きく投げられ転がり負けると・とても喜んだ。
「強いなぁあ~」の父の一言が更に熱戦を盛り立てた。
彼が成長し・高校生となった。
久しぶりの再戦。
がっつり四つに組むと・力強い彼の引きに後ずさりした。
手加減しながら父と組む息子。
大きくなった。
立派になった。
頼もしくなった。
真っ直ぐ伸びよ。
父はいつでも迎えうつ。

Vol.883「オンライン」

スマートフォン。
この小さな箱が世界と通じている。
日本の九州の小さな田舎町に暮らす私。
私はここにいて世界中の会った事もない人々と会話できる。
地球上の行った事のない場所の風景を体感できる。
とても素晴らしい事であると感じる。
けれど少し怖い気もする。
小さな箱の扉を開けるのは私。
勇気と好奇心と良識を持って・扉を開けよう。
決断はいつも自分自身にあるのだから。

Vol.882「ゆりかご」

赤ちゃんがお母さん・お父さんに逢いにきてくれた。 
けれど・産声のない天使だった。
三人で旅行したかった。
我が子の写真を抱いて飛行機に乗った。
連れて来てあげれなかったと涙した。
すると・一人のキャビンアテンダントが歩み寄った。
我が子の話をした。
飛行機を降りる際・たくさんのおもちゃと搭乗員全員の
メッセージカードを贈られた。
ホテルにチックインして・部屋に入った。
我が子の写真を飾った。
客室係が尋ねたので・我が子の話をした。
食事に出かけ・レストランに入店した。
テーブルに写真を置き・我が子にはお子様ランチを注文した。
注文を受けた店員に我が子の話をした。
三人分の料理が運ばれてきた際「三人でお写真撮りましょう」と
店員が声を掛けた。
食事を済ませホテルの部屋に戻ると・我が子の写真が
たくさんの花で飾られていた。
両親の深い悲しみを私たちは・100%共有できない。
けれど・寄り添うことはできる。
きっとできる。

Vol.881「ばあばのお仕事」

お孫ちゃんがおばあちゃんに質問。
『ばあばのお仕事って、どんなの?』。
「ばあばのお仕事はね・お母さんたちにおいしいご飯を作ること」。
「た~くさん食べてもらって・おいしいおっぱいを赤ちゃんに飲ませてもらうの」。
『ふぅ~ん』。
『ばあば・すごいね!』。
孫の素朴な質問が・自身の仕事と向き合う機会をくれた。
「そうだ!私は毎日おいしいご飯を作る」。
「たくさん食べてもらって・赤ちゃんとお母さんを幸せにする!」。
孫が改めて気付かせてくれた・私の仕事の誇り。
昨日も・今日も・明日も。
幸せご飯を私は作る。

Vol.880「学びと気づき」

毎日の一期一会。
様々な年齢・背景を持った患者様が通院される。
想いも不安も百通りある。
クリニックスタッフに対しても色々なご意見を頂く。
時に励ましのお言葉。
時にお叱りのお言葉。
スタッフも人間。 
お言葉に喜び・落ち込む事もある。
けれどたなべクリニックスタッフは受け入れ・前向きに捉える。
全ては自己成長の糧となる。
そこに学びと気づきがある。
様々なお言葉に感謝する。
今日も胸を張り・顔を上げ・笑顔を絶やさない。
今日も一期一会が待っている。


Vol.879「母の想い・父の願い」

卒業の春。
就職の春。
息子が社会に旅立つ日がやってきた。
中高6年間の寮生活。
大学に進学し・晴れて卒業。
中高時代・たまに帰って来る我が子。
家内は腕によりをかけて料理を作った。
帰り際・夜食などを持たせて寮へ送り届けていた。
彼が寮に戻ると・妻は決まって数日寂しそうに日常を送っていた。
帰省に喜び・帰寮すればこころに小さな穴が空く。
そんな息子が社会人となる。
巣立つ日に・彼の母はとても晴れやかな顔をして送り出していた。
彼女の中で・ひとつの区切りがあったのだろう。
敢えて・その心境の変化を聴かないでおこう。
母と息子。
息子からの電話。
楽しく会話する母のその姿は変わらない。

Vol.878「おかえり」

初診の患者様。
妊娠していたら・たなべクリニックでお産がしたいとの事。
診察。
「おめでとうございます」と私。
ニコッと微笑んだ患者様。
おもむろに母子手帳を差し出した。
『私が産まれた所でお産したかったから』と彼女。
お産に立ち会った医師の名前は私。
お帰りなさい。
おめでとう。
繋ぐ繋げる大切ないのち。